殺処分を寸前で免れ、今では県警の嘱託警察犬として活躍するトイプードル「アンズ」(雌、5歳)と飼い主で警察犬指導士の鈴木博房さん(67)が17日、茨城町大戸の町立大戸小を訪れ、特別講演会を開いた。「飼育して4年たつが、今でも丸めた新聞紙を見ると怖がる」とたたかれたトラウマ(心的外傷)が残っていることを説明、「人や犬をたたくのはやめて」と訴えた。
児童に暴力やいじめをなくす気持ちを育て、動物への愛情を深めるのが狙い。道徳の時間として実施された。近くの大戸幼稚園の園児も参加した。
鈴木さんは2013年3月、知人の犬の火葬のため県動物指導センター(笠間市)を訪れた時に、飼育放棄されたアンズと出合い、引き取った。
当時はペットシートに排せつができず、夜泣きもひどかったという。「人間不信に陥っていたが、一緒に飼っているシェパードがアンズを受け入れてくれた」と紹介した。
アンズを警察犬の訓練に同行させると訓練をやりたそうなそぶりだったため、毎日こつこつと練習を重ねた。身体の大きさが異なるため「どう教えたらいいか試行錯誤の連続だった」と振り返った。小型犬のためジャンプは苦手だったが、「10センチから始め3カ月後には60センチまで飛べるようになった」と努力の大切さを強調した。
トイプードルは愛玩犬とみられていたが、「においをかがせてみたら、シェパードと変わらなかった」と嗅覚の能力の高さも説明した。2016年1月に県警初の小型警察犬となった。
行方不明者の探索、犯人の追跡、遺留品の捜索などを行う。アンズはこれまで21回出動し不明者を4人発見した。昨年7月には子ども「エリー」を出産した。
講演では、警察犬でシェパードのグリムも登場。児童は「大きい」と歓声を上げていた。エリーも姿を見せた。